医療法人社団誠和会 白鬚橋病院 栄養科 本文へジャンプ
各疾患の食事:高血圧症


タウリンは、軟体動物、特にタコ、イカに多く含まれる 食事療法
  • タウリンが、本態性高血圧の治療や予防に効果的であると言われている。
  • また、脂質やコレステロール代謝にも有効で、動脈硬化や脳梗塞、心臓梗塞などの血栓の予防に役立つ。
  • タウリンは、魚介類、軟体動物、特にタコ、イカに多く含まれる。
  • するめの表面に出る白い粉にはタウリンが凝縮されている。

 
 1.病名
 高血圧症
 2.原因
  • 血圧は血液が血管を流れる時に血管壁に及ぼす圧力のこと。
 分類 収縮期血圧(最高血圧)  拡張期血圧(最低血圧) 
 最適  <120  <80
 正常域  <130  <85
 正常高値  130〜139  85〜90
 グレード1高血圧症  140〜159  90〜99
 グレード2高血圧症  160〜179  100〜109
 グレード3高血圧症  ≧180  ≧110
  • 最高血圧と最低血圧の差を脈圧といい、約40mmHg位。
  • この差の少ない時は、心臓が収縮した時と拡張した時に血液を送る力がないということで、収縮力が不十分で心臓の効率が悪いことになる。
 高血圧を原因により分類すると、二つに大別。
「本態性高血圧症」(原因不明)   食事療法(患者の8〜9割)
 「悪性高血圧」(原因明瞭)  原因治療

高血圧の原因を明らかにするために、医師の質問と患者の自覚症状の訴えを基に、病態を知る為の様々な検査が行われる。
 「悪性高血圧の原因」・・・主因子
  1. 神経因子(交感神経系の刺激性増大によりノルアドレナリンが分泌され、血圧を上げる)
  2. 腎性因子(腎臓に流れ込む血流量の減少により、レニン、アンジオテンシン系の分泌が上昇し、その働きで血圧が上がる)
  3. 分泌性因子(アルドステロンの分泌亢進症により高ナトリウム血症、低カリウム血症、血中カルシウの減少が起こり、高血圧になる)
 「本態性高血圧の原因」・・・主因子
  1. 血管性因子 
  • (血管平滑筋収縮が異常な為、全末梢血管の抵抗性が増大し、高血圧症に)
  • (血管壁の肥厚による血管抵抗の増加により、血圧上昇)動脈硬化症と絡む
  1. 分泌性因子 
  • (最近、カルシウム拮抗薬によって血圧が下がることが判り、カルシウムの取り込みやその利用の変化などが、血管平滑筋の収縮機構の中でナトリウム、カリウム、カルシウムなどの細胞膜輸送に異常を起こすのではないかと考えられている)
 本態性高血圧になる環境因子には、過労、ストレス、偏った食生活、内分泌因子の異常、腎臓機能の障害、中枢神経の異常などの指摘があるが定かではない。
 3.診断
 血圧は、心拍出量、循環血流量、血液粘稠度、動脈の弾力性、末梢血管の抵抗などの素因により左右される。
 また血圧は、身体、精神活動の状態や季節により変動する事を、考慮する必要がある。
 <高血圧の原因検査項目の進め方>
  一般尿検査
  • 一般尿検査試験紙(アウブスティック、ウリスティックス)を尿中に浸す。
  1. 蛋白質や糖の排泄を調査(急性腎炎やネフローゼでは大量の蛋白を見る。良性高血圧では悪性本態性高血圧に比べて尿蛋白は少ない)
  2. ,顕微鏡検査・・・尿を遠心分離機にかけて、赤血球、白血球、円柱などの沈査を見る。急性腎炎では、赤血球が多く、悪性本態性高血圧では赤血球や円柱が多い。
  3. ,尿の量と比重・・・尿の濃縮力は最高比重が1.020以上を正常とし、腎障害が進むと比重が1.010近くになる(比重計で測定)。
 血液測定
  • 赤血球、白血球、ナトリウムやカリウムなど電解質、総たんぱく、総コレステロール、尿素窒素、尿酸、クレアチニン、血糖、肝機能などをみる。
 血中・尿中諸ホルモンの測定・尿中電解質の測定
 
  • 一般的な尿検査(尿たんぱく、尿沈査、尿比重)などの他に、血漿レニン活性、血漿アルドステロン、ACTH、尿中カテコールアミン、コツリゾール、尿中カリクレイン、血漿アルドステロンなど。
 心電図・眼底検査
  1. 心電図では不整脈、左心室肥大、伝導障害、冠不全の有無などを知る事ができる。
  2. 眼底検査では高血圧による細動脈の麻痺、硬貨状態を直接観察できる。
 画像診断T
  • 胸部レントゲン
  • 腹部単純写真
  • 腎盂撮影
  • 腹部超音波
  • 腹部CT
 画像診断U
 
  • レノグラム
  • シンチグラム
  • 血管造影
  • 局所静脈からのホルモン測定
 4.症状
  •  初期には自覚症状は殆ど見られないが、これと言った自覚症状がなくても心臓が肥大していたり、腎機能が低下していたりする為、高血圧状態が起こっている。
  • 高血圧の状態が続くと、頭痛、動悸、視力障害、息切れなどの不快な自覚症状が伴うが、本態性高血圧はこれという自覚症状や他覚症状の原因がつかめなくても、検査の結果、腎臓や心臓の機能が低下していたりすることがある。
合併症により、各臓器に種々の症状が見られる。 
 心臓  動悸、息切れ、不整脈、狭心症、心筋梗塞、頭痛、呼吸困難
 腎臓  浮腫、夜尿、尿量減少、尿毒症、たんぱく尿、腎不全
 目  視力低下、眼底出血
 消化器  消化器・・食欲低下、便秘、吐き気、腹痛
 脳  手足のしびれや運動障害、一時的な記憶喪失、重症の場合は脳卒中や脳出血
 5.予防
  • 高血圧は短期間に出現するものではなく、比較的長期間の日常生活のあり方や日頃の食習慣が本疾患の発症頻度に深く関連していることが、疫学的調査で示されている。
  • 本症は放置しておいても自然に治癒することはなく、着実に進行して脳血管、心臓の冠状動脈および腎動脈など全身の諸動脈に障害をひろげる。
  • 近年、高血圧は治療剤でコントロールできるようになったが、いずれも、副作用を考慮しなければならない
  • いずれにせよ、高血圧の進展を予防するには、基本的な諸生活のあり方を十分に理解して、薬剤治療に限らず、正しい食事療法を一生涯継続していく必要がある。
 6.改善
  • 高血圧の治療では、一般療法(生活療法、食事療法、運動療法)と物療法が基本になる。
  • 一般療法だけで高血圧がコントロールできる場合と、薬物療法を併用する場合があるが、薬物療法を用いる際にも一般療法は欠かせない。
  • 高血圧の進展を防ぐには食事療法は重要であり、その基本的な方針は、血管障害の促進因子に留意し阻止することである。
  • 動脈硬化の加速因子となりやすい肥満や食塩の過剰摂取を避け、標準体重の維持が望ましい。規則性のある食事回数で、各栄養素のバランスを保ち、塩分制限を原則とする。
  • 量的には腹八分目にして食べ過ぎないようにする。
  • 生活面からもストレス、過労を避け、高血圧の憎悪を軽減するように努め、動脈硬化の合併症を予防する。
 7.食事療法
  • 諸統計によれば、肥満と高血圧の出現率の相関性はかなり高く、肥満の場合は体重を理想体重に低下させる必要がある。
 例えば、
  • 肥満度が標準体重を20%超えた場合では、高血圧の発生頻度が2倍以上となるため、1日の所要エネルギー量は、個々の活動に合わせ、1,000〜1,200kcalに制限する。
  • 一日の所要エネルギー量・食塩制限・蛋白制限等は、医師が食事箋により決定。
  • その食事箋の内容に沿って、栄養士が三大熱量素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の適正配分やビタミン・ミネラルの適正指示を行う。
  • また、タバコ、アルコール類、香辛料などが高血圧に直接的な影響をもつという報告はない。
  • アルコール類は食事に欠かせない嗜好品となっており、適度な量の摂取は、現代社会において有効なストレス解消ともなる。
  • 但し、多量摂取する場合は、エネルギーの取り過ぎになる場合もあるので、取り過ぎにならぬように注意しなければならない。
  • (1週間に日本酒4合程度の飲酒であれば血圧には影響を及ぼさないが、エネルギー制限をしている場合には、体重に影響を及ぼす可能性がる。
  • また、膵臓疾患患者はアルコール厳禁。肝臓疾患患者は制限がある)
  •  わさび、唐辛子、カレー粉などの香辛料も、イメージ的には血圧が上がりそうですが、実際には、血圧上昇に直接の影響はもちません。



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