医療法人社団誠和会 白鬚橋病院 栄養科
各疾患の食事:腸疾患


野菜では大根、人参、ほうれん草が良く、果物ではリンゴが良い。 食事療法(本文より一部)

  • 流動食、軟食、常食に準じる。
  • 穀物は精白度の高いものが良い。
  • 薩摩芋は繊維が多く下痢を助長しやすい。
  • 豆類では豆腐と納豆が良い。
  • 野菜では大根、人参、ほうれん草が良く、果物ではリンゴが良い。

 
 1.病名
 腸疾患
 2.原因
急性腸炎(急性下痢症)

  • 繊維など不消化食物の多常食、食物の腸管内での異常発酵、暴飲暴食、腹部冷却、大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌・赤痢・腸チフス・感冒ビールスなど細菌感染、種々の薬物、食事性アレルギー、ストレスなどによる刺激により腸管に異常が起こる。

慢性腸炎(慢性下痢症)

  • 繊維の多い食品の過食など、腸管への刺激が原因の場合もあるが、胃無酸症、膵機能低下、心理的因子などの原因が多い。また、背後に器質的疾患が隠されている場合も多い。
便秘症

 便秘症の分類 
 器質便秘  腸の通過障害
  • 腸閉塞、腸腫瘍(結腸癌等)、腸結核、限局性腸炎、結腸憩室炎、腹腔内腫瘍による腸管圧迫など
 直腸、肛門の器質的疾患
  • 直腸癌、痔瘻、痔核など
 大腸の形態異常
  • Hirschsprung病、
  • S状結腸過長症、
  • Payr病等
 機能性便秘  一次性便秘
  • 環境の変化、精神的ストレス
 持続性便秘  
 弛緩性便秘
  • 習慣性常習便秘(直腸型便秘)、
  • 薬物(モルヒネ、鉛等)
  • 繊維の多い食品の摂取不足、
  • 運動不足、
  • 便意を我慢したり無視続ける事による腸管の弛緩が起こり内圧が低下し便意が焼失する等
 持続性便秘  痙攣性便秘
  • 過敏性大腸症副交感神経の過度の緊張により腸管に不規則な痙攣が起こり、内容物の移送が困難となる。
  • 便秘と下痢を交互に繰り返す場合もあり、腹痛や残便感もある
 3.診断
急性腸炎(急性下痢症)・慢性腸炎(慢性下痢症)

  • 糞便検査を行う。
  • 肉眼で、形状・硬度・量・色・粘液・出血の有無などを検査。
  • 肉眼で判明しにくい時は、潜血反応を行う。

便秘症

  • 健康な人は、ほぼ1日1回ペースで排便をする。
  • 数日以上も排便がなく、しかも排便間隔が不規則な場合は、便秘とされる。
  • 糞便検査。肉眼で、形状・硬度・量・色・粘液・出血の有無・回数・頻度などを検査。
 4.症状
急性腸炎(急性下痢症)

  • 一般的には全身倦怠感、悪心、下腹部の疼痛に続き、下痢を起こす。
  • 下痢は1〜2回程度で終わることが多い。
  • 1日数十回の激しい場合もあるが、急性下痢は長くても数日で回復する。
  • 赤痢などの感染性の場合は、発熱、粘血便を伴う場合も多く、下痢も激しく脱水症状を起こすこともある。

慢性腸炎(慢性下痢症)

  • 下痢や腹部不快感があるが、膨満感や腹痛を伴う場合もある。
  • 長期間下痢が続くため、体重減少、貧血、衰弱などがみられる。
  • 過敏性大腸炎では栄養障害は殆どみられない。

便秘症

  • 原因の表を参照。
  • 排便は1日1回朝食後に起こることが多いが、便秘症では数日以上も排便がなく、排便に苦痛を伴う。
  • 腹痛や残便感といった症状もみられる。
 5.予防
 
 6.改善
急性腸炎(急性下痢症)

  1. 症状が軽いときは1〜2回、激しい時は1〜2日絶食。脱水症状を防ぐため、湯冷ましや番茶を適量とる。特に症状が激しい場合は、非経口的に水分や栄養を補給する。症状が落ち着いたら流動食、軟食へと進めてゆく。
  2. 消化がよく栄養価の高い食品を、柔かく調理して摂る事。
  1. 食事アレルギーによる場合は、牛乳、卵、背の青い魚(さば)、かに、えび、かき、肉類、たけのこ等、アレルゲンとなる食品を避ける。
  2. 繊維の多い野菜や果物、油脂類や脂肪の多い獣鳥肉類・魚介類、香辛料、アルコール、コーヒー・紅茶等のカフェイン飲料、炭酸飲料、発酵しやすい食品、極度に冷たいものなどは腸に刺激を与え、下痢を助長するので避ける。
  3. 油脂は高エネルギー食品なので、乳化されたバター、クリームなどを少量とる。牛乳も栄養価が高いけれど、下痢を助長しやすいので与え方に注意する。
  4. 一回の食事量を減じ、頻回食にする。
 慢性腸炎(慢性下痢症)
  1. 第一に原因疾患の治療をすること。
  2. 食事療法としては、急性下痢症と同じく繊維の多いもの・脂質の多いもの・香辛料・アルコール・カフェイン飲料など腸に刺激を与える食品を避け、残渣が少なく栄養価の高い食品を選ぶ。
  3. 消化のよい調理法を選び、温度は体温程度が最も良い。栄養状態がかなり低下している重症時は、非経口的に栄養を補給すること。
 便秘症
  • 食事療法の対象になるのは機能性便秘である。
  1. 弛緩性便秘 食事療法の他に一定時間の排便を習慣づけ、適度な運動を行う。
  2. 痙攣性便秘 食事療法のほかに、精神の安静を保たなければならない。
 7食事療法
急性腸炎(急性下痢症)・慢性腸炎(慢性下痢症)
流動食、軟食、常食に準じる。穀物は精白度の高いものが良い。薩摩芋は繊維が多く下痢を助長しやすい。豆類では豆腐と納豆が良い。野菜では大根、人参、ほうれん草が良く、果物ではリンゴが良い。
便秘症
  • 弛緩性便秘
    • 常食に準じた食事。繊維(残渣)の多い食品と、水分を1日1.5L位とり、糞便の増量を図り、腸の蠕動を高める。
  • 痙攣性便秘
    • 慢性下痢症に準じた食事。下痢症と同様繊維の多い食品や脂肪の多いもの、香辛料、アルコール、酸など腸に刺激を与えるものを避け、消化のよい調理法を選ぶ。温度も体温程度が望ましい。



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